2016年1月4日月曜日

新・相生橋 OBだより104号(2016年1月1日号)掲載

 明けましておめでとうございます
 会員各位におかれては、家族と共に新年を寿ぎお迎えのこととお喜びを申し上げます。
 コラム相生橋の「相生」とは、一本の樹木の根から二本の幹が相接して生え出ることであり「相老いる」と掛け、古来縁起良いことを意味している。古今和歌集序編には「高砂・住吉の松も相生のように覚え」とある。さらに、人と人とを紡ぐ絆に例えられる場合もある(古語辞苑)▼かつて県職員としての志を共有した者が、この機関誌を通してお互いに心を通わす思いのかけ橋になることを期待したい。昨年2回(号)に亙って近況報告が載ったが、270名の筆跡と氏名とを重ねて、彼の地で元気に暮らしておられることを想像するよすがと思えた▼毎年新年を迎えると、いつもの場所に新しい暦が居座る。また今年一年この日々と付き合うのかと感慨する▼「初暦知らぬ月日の美しく」(古屋信子句)新雪のように染みのない12ヶ月の日々。今年は366日(1784時間)がこの暦に詰まっている。元日の午前0時から時の針は一刻も止まらず人生年輪を刻み続けるのだ。果たして今年はどんな日々が待ち受けているか。どうか恙無く、苦災がない「日々是好日」であってほしいと願う正月を迎えた▼きのうまで一年間壁に掲げていた暦は、古年の想い出と共に、暗やみに溶け去っていく人生の無常感を感慨する▼昭和20年30年代日本中がみんな横並びのくらしで、衣食住や優れた文明機器がない生活であった。そんな日常生活の中で、母や祖母は家族のために新しい日々の幸せと感動を見出そうとしたのが我々の先祖であった▼正月は、日常見慣れてはいないが、見えないものを、知らぬ美しいモノに気づく365日分の1日である▼大晦日から元旦に変わった時から正月固有の静粛な空気が漂う。この空気を胸に刻み込みながら、会員並びに御家族の健康が珠玉の恵みになることを、お祈り申し上げます。このコラムを御覧頂きますことを望外の喜びとしています。

(H27・12月記 日本エッセイスト倶楽部会員 R・T)