社会福祉士(エンディングソーシャルワーカー)
終活カウンセラー 上級
川上 恵美子
皆様は「もしもの時」のことを考えたことがありますか?
万が一のときに備えて、自分の大切にしていることや望み、どのような医療やケアを望んでいるか等について、自身で考えたり、信頼する人たちと話し合っておくことは終活の中でも非常に大切なことです。
「ACP」という言葉をご存知でしょうか。
「ACP」の定義とは「将来の意思決定能力の低下に備えて、本人がそのご家族や、医療・ケアチームと全体の目標や治療・療養について事前に話し合う過程(プロセス)」とされています。簡単に言うと〝もしものための話し合い〟です。
私たちは人生の終焉「死」を避けては通れません。自分らしい、自分が望む人生を意思決定しながら、どのように生きるかを考えることは重要なことです。最期まで笑顔で過ごし旅立つためにも「ACP」は必要となります。
厚生労働省は「ACP」の愛称を、もしもの時のための『人生会議』としています。
~自分の「ACP人生会議」を進めてみよう~
①あなたの大切にしていることは何ですか。
②あなたが信頼できる人は誰ですか。
③信頼できる人や医療・介護従事者ともしもについて話し合ったことはありますか。
④話し合ったことを大切な人たちに伝えて共有してますか。
私たちの心身の状況や環境に応じて、気持ちや考え方は変化しますので、何度でも繰り返し『話しあう』ことが人生会議においては大切なのです。
私事ですが、我が家では元気な時から「自分のもしも」「家族のもしも」について話し合っていました。父の病が分かった際も、改めて家族で向き合い話すことができました。父の考えを尊重しながら、最後は本人ではなく『家族が代わって意思決定をする』場面でも、話し合っていたからこそ後悔なくできた選択がありました。
『大切な人の代わりに選択する』ということは勇気が必要でした。しかし、父のことを考えた時に、信頼できる人がいる、託せる人がいるということが、父にとっては最期の時間を過ごす際の安心感につながっていたと感じております。
「終活は自分と家族への愛情表現です」