2017年1月13日金曜日

のんちゃんの あの人はいま⑰ ~行正 健志さん~




 
 レコードコンサートで
 地域の文化交流をしている

 行正 健志さん68歳)
 2008年(平成20年)退職

 2016.10.22
 旧矢掛本陣石井家酒蔵にて
 今回は久本恵弘さんの取材です





今回は、LPレコード蒐集家として知られ、また天神山文化プラザや矢掛町でレコードコンサートを開催し、その博識を活かしナビゲーターをされている行正健志さんを紹介します。

レコードコンサートが始まる前の多忙な時間であったが取材をお願いしました。
私のぶしつけな質問にも快く応じていただきました。

ラジオ少年だった私は、高校生の時ステレオレコードなるものを初めて聴き、その音と装置に魅せられオーディオファンになってしまった。
生い立ちからして「音楽が好き」というよりも「音が好き」といった方が適当かもしれない。

そんな私は、今年になって行正さんが矢掛町でレコードコンサートをされていることを聞き早速会場へ出かけた。それは1月の終わりの雪の舞う寒い日であった。
しかし会場の矢掛町家交流館には既に熱心なファンが集まっていた。

このレコードコンサートは、旧矢掛本陣13代当主の石井遵一郎さんが蒐集され矢掛町に寄贈されたものを皆さんに聴いていただくために企画されたものであり、行正さんがその博識と経験を活かしナビゲーターをされているものだ。

当日使用されたレコードは、ステレオではなくモノラル録音のものであったが温かくそして懐かしさを感じさせる音であった。
行正さんの丁寧なナビゲートとともに最後までコンサートを堪能させていただいた。
その後毎回レコードコンサートに出席させていただいている。

行正さんの活動を「OBだより」で紹介することとし、10月終わりに取材を兼ね旧矢掛本陣石井家酒蔵の会場へ出かけた。
当日はいつものクラシックではなくジャズのコンサートであり、ナビゲーターは同じ県庁OBの高谷さんが担当された。

当日使用された再生装置は、最新のレコードプレイヤーに真空管アンプ、そしてスピーカーは米国アルテック社製A7で「ボイス・オブ・ザ・シアター」と呼ばれている劇場用だ。アンプには大型出力管を使用していることもありスピーカーを力強く鳴らす。

曲目、プレイヤー等のエピソードを聞き、レコードを聴くと何回も聞いたことのある曲もより興味深く聴くことができる。




行正さんから伺った話は次のとおり。

[久本]          
和気町在住の行正さんが矢掛町の「石井コレクション」LPレコードコンサートにかかわることになったいきさつは。

[行正]          
矢掛町長が「石井コレクション」を利用し街づくりに役立てることを考え、私に依頼がありました。

[久本]          
音楽に興味を持たれたきっかけ、時期は。

[難波]          
中学生の時、先生に「新世界」や「アイーダ」のレコードを聴かせていただいたことです。

[久本]          
主としてクラシック音楽のナビゲートをされていますが、他のジャンルはどうですか。

[難波]          
最近は室内楽、声楽をよく聴いています。ジャズや民族音楽も聴きます。

[久本]          
特に好きな演奏者等は。

[難波]          
指揮者ではフルトヴェングラー。岡山で聴ける演奏家ではカルテット・ベルリン・東京、久保陽子。CDで聴ける歌手では、バルトリ、波多野睦美等です。

[久本]          
現在はCD等が主流ですが、何故今レコードですか。

[難波]          
レコードの音とジャケットが好きです。

[久本]          
最近レコードが見直されていますが。

[難波]          
レコードの購入者は若い人もいますが、ほとんどが高齢者だと思います。高齢者にはハイレゾ等は無縁の世界です。個人的にはそれほど広がらないと思います。

[久本]          
これからレコードで音楽を楽しもうと思われている人たちへのアドバイスは。

[難波]          
できるだけ生の音を聴いてください。レコードを蒐集される場合は、廉価版でも状態の良いものを購入してください。結構良い音です。

[久本]          
レコードは保存・管理が大変だと思いますが、特に注意していることは。

[難波]          
約7000枚所有していますが、湿度計を置き管理しています。雨の日は除湿機を使用します。中古のレコードを購入した場合は必ず「パック」をしクリーニングをします。希望者には方法を教えます。

[久本]          
レコードは入手が困難になっていますが、入手方法は。

[難波]          
新譜は高価でも購入しますが、中古盤は安いものを「足」で探しています。

[久本]          
レコードコンサートに行ってみたい方のために今後の予定を教えてください。



3月21日(火)~26日(日)
 天神山文化プラザ第5展示室
 石井遵一郎LPコレクション、ジャケット展

3月26日(日) 10時30分~12時、14時~16時
 天神山文化プラザ3階会議室
 「パリのモーツァルト」シリーズ等




 現在はCD等デジタル音源が主流であるが、レコードの魅力も捨てがたい。皆さんもレコードの音をもう一度聴いていただき、その良さを再確認していただければと思う。
 最新のもの、高級(高価)なものがいいと思われるかもしれないが、好みは人それぞれであり必ずしもそうではないところがこの世界の面白いところだ。
 最後になったが、レコードコンサートを通じ地域の文化活動に貢献されている行正さんに敬意を表したい。(久本恵弘)

新・相生橋 OBだより108号(2017年1月1日号)掲載

 あけましておめでとうございます。会員各位には、御清祥にて家族と共に新年をお迎えのことと、お喜び申し上げます。大晦日も一夜明ければ正月である。去年ともなく、今年ともなく、憂きことも災いも、去年になりゆく今年の正月である▼このコラムを読んでおられる方は、昭和時代の正月風情を思い出される方もあるでしょう。鎮守の森を清め、注連飾りを準備したり、道祖神や六地蔵を清掃したりされ、町内会や部落会の人と正月前の行事をされた方もあるでしょう。そんな正月前の部落のつき合いは、つい先年の頃の風景であった。しかし、今は近所の人と参加することがなくなったと聞く▼齢を重ねると月日が早く過ぎ去るようだと、多くの方から聞く。今日から明日へと時針は変わらず刻々と進んでいるのにどうしてそう感じるのか。この疑問に答えたのは、ストレス学説を説いた、ハンズ・セリエ(1982・カナダ医学者)である。その学説の結語は「精神のよりどころにある」と述べ、例えば、一日中朝から夕方まで忙しく動いたり、書物に心注したりした時は、時針が早く進むと感じ、目的もなくダラダラと無為の時を過ごすと時針は遅く感じる、と説いている▼このコラムの書是は、健康であった。健康生命は、地球より重い、との格言のとおり、すべてに先んじらねばならない。「一年の計は元旦にあり」との格言があるが、各位にとって今年の「計」は健康寿命を設定されたらどうでしょう。健康寿命は、今の自分の体と精神が共に健全な状態であって、症状がない状態であるが、もしも健康でなかった原因は、過去の積年のツケが身体に影響を及ぼしたためである▼なぜか年と共に肉体の諸器官が衰えてくるからだ。健康寿命のためには、その三原則「栄養・休養・運動」を日常生活に組み込むことが必須である。哲人レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452~1519)は「十分に人生の終わりのことを考えよ。まず最初に終わりを考え生きてゆけ」と「人生ノート」の中で述べている。また日本でも、吉田兼好(1283~1352)は「徒然草」で「健康は、始めと終わりこそをかしけれ(よろずのこと始めと終わりこそ大切であり、味わい深いものだ)」と述べている▼イタリアの哲学者と鎌倉時代の宗教家が、健康について同じ意義を唱えていたことは、今日に至っても決して色あせないことを認識するものである▼平成も29年目に入った、今日の世相は混沌としているが、今年が各位にとって、そして、家族にとって良い年となることを祈念します。

(H28・11月記 コラムVol.13編 日本コラムニスト倶楽部会員 R・T)