今回は、里庄町、笠岡市、井原市、福山市、府中市の7ヶ寺です。
1番目は、里庄町新庄の不動院です。本尊は不空羂索観音菩薩で衆生を羅索(漁猟用の網)で漏れなく済度するといわれています。瀬戸内三十三観音の内では唯一のものです。秘仏で三十三年ごとに本尊開扉法要が厳修されています。
2番目は、笠岡市有田の教積院です。広島県との県境にあるため、バスは一度県境を越えて迂回しての参拝です。高野山真言宗の寺院で、海抜百メートルの小高い山の頂にあります。
本尊は聖観世音菩薩で年代作者等は不明ということですが創建(1323年)当時の尊像と思料されるということです。毎月28日には護摩堂に於て不動護摩供が厳修され、多くの信者が来山されるそうで、特に病気平癒や受験合格にご利益があるとのことです。
3番目は、井原市の観音院。バスから降りるとまず目に入るのが高さ約12mの聖観音菩薩です。開山1260周年と鉄道井原線開業を記念してH16年に建立されたそうです。奈良時代に名僧行基の開基と伝えられ、本尊は十一面観音菩薩です。
「老いても介護で嫁や家族の手を煩わすことなく健康で幸せな生涯をまっとうできる」という霊験があり、そのため「嫁入らず観音様」と呼ばれています。住職は居らず地域の住民が当番でお世話をしているということです。
4番目は、福山市の寒水寺です。バスがやっと通れる山道を登ると標高170mの山中にお寺が見えてきました。弘法大師が杖を立てたところ、水が湧き出たといわれる岩清水があるそうです。もともと清水寺といいましたが、厳寒でも涸れることも凍ることもないため、寒水寺に改名されたと伝えられています。
本尊は、十一面千手観世音菩薩です。見事な庭園があり、サツキが一面に植わっていました。神辺平野をはじめ、福山城の天守閣も見下ろすことができるそうです。
近隣では「大坊」と通称され、仁王門も集落の入口にあり、地域とのつながりが深い寺だそうです。石仏の庭園があり来訪者の心を癒してくれます。
7番目は、福山市の福性院です。ご本尊十一面観音には次の様な伝承があります。昔、寺域にあった大きな松にコウモリが巣を作り、ヒナを育てて飛び去りました。その巣は霊光を放っていました。ある時、大風でその巣が地上に落ちました。中をのぞくと観音像と神像二体が現われました。寺は、これを祀り、鴻巣観音と呼んだといわれ、子授け、出世のご利益があるといわれています。
本寺では、ご住職にお会いしお話することができました。ご住職は、瀬戸内三十三観音霊場会立ち上げられ会長を務められていたそうで、現在は名誉会長となられています。