2024年2月9日金曜日

終活のすすめ35回  コロナ禍の期間に大切な人を亡くされた方へ ~『グリーフ』を知る~

 



社会福祉士(エンディングソーシャルワーカー)
    終活カウンセラー 上級         

              川上 恵美子


以前西日本豪雨災害の際にも「グリーフ」について掲載させて頂いた事を覚えていらっしゃいますでしょうか。

「グリーフ」とは喪失に対する私達の感情の反応で、感じていることや思っている事を心の中に閉じ込めた状態の事を指します。閉じ込めていることで、「怒り・罪悪感・悲しみ・うつ・孤独感・絶望感・無感覚」などの多くの感情が表れることがあります。

「グリーフ」は誰でも経験するものであり、人生の中で何度も喪失によるグリーフの経験をしますが、「感じ方は人それぞれ」で、同じ家族であっても、一人一人がそれぞれの形で表に出てきます。

今まで経験のないコロナ禍で「大切な人を喪う」ことは、いつもと違う状況の中で思ったように看取る事が出来ず、グリーフの反応が複雑化する事もあります。

「死別」による喪失だけではなく、様々な社会的活動の制限により、「会いに行くことが出来なかった」「一緒に過ごすことができなかった」「側にいられなかった」等、今まで普通にできていたことが出来ない「あいまいな喪失」経験も重なる事で

気持ちの整理が難しく混乱しやすくなります。

「大切な人」を側で看取ることができなかったり、葬儀に参列できなかった痛みを消し去る言葉はありませんが、最期の終わり方に注目するだけでなく、あなたが大切な人と一緒に経験した「笑い」「喜び」「幸せ」などの幾多もの大切な場面を思い出すことで、これからも一緒に生きていけることを忘れないで下さい。

重要な事は、大切な人は一生を通じてあなたに対して「愛情」を感じ、あなたからの「愛情」も心にしっかりと抱きしめながら人生を終えることができたということです。

「大切な人を喪う」ことはとてもつらい経験です。気持ちの整理を始める際は、「大切な人との思い出」と「その人が自分の人生にもたらしてくれた特別な贈り物」を振り返ってみてください。無理に克服したり元気になるのでなく、ゆっくりと「グリーフ(喪失経験)」と向き合い・折り合いをつけていき、これからの自身の人生へ共有してみてください。

もし皆様の周りにコロナ禍で大切な人を亡くされた方がいる場合は、今までに経験した事のない状況下である事を理解し、その人の気持ちの変化を受け止め、「私はいつでもあなたの事を支えたいとおもっている」というメッセージを何かの形で示してあげてください。支えてくれる人がいる事は、これからの人生においてとても心強いサポート(グリーフサポート)となります。

参考文献:(一社)グリーフサポート研究所「コロナ禍の期間に大切な人を亡くした方へ」